本気でネパール語を習得したい方のために合同会社アジア・パブリック・インフォメーションがお届けするネパール語解説。今回から文法編がスタートします。
前回までで、文字や記号、数字の読み方を10回にわたって解説していますので、そちらがまだマスターできていない方には、まずはそちらを習得なさることをお勧めいたします。しっかりした建物には、しっかりした土台が必要です。
文法編第1回目の今回は、ネパール語の「語順」と「主語の形」、そして「動詞(原形)」について説明してゆきます。まずここを抑えれば、辞書を引いて文の意味をなんとなく予想することができるようになりますね。ネパール語学習に、ちょっと勢いが出てきます。では、ネパール語解説・文法編、始めましょう!
(※この記事は、弊社の運営する「Webマガジン ニュース・オブ・アジア」にも掲載されています。そちらのサイトには複数のネパール語記事もあり、弊社のネパール語理解度をご確認いただけます。ぜひ一度ご覧ください。)
ネパール語の語順
文法といえば、まずは語順です。学校の英語の授業で勉強した、「SVO」が懐かしいですね。「S」は主語、「V」は動詞、「O」は目的語、でした。日本語の「SOV」の形と順序が違うことで、学校の英語の授業でいきなりつまずいた、という方も少なくないことでしょう。その後、さらに「SVOO」や「SVOC」といった形が出てきて英語が嫌いになってしまったという方もおられるでしょうか。形容詞が名詞の前に着いたり、後ろに着いたり…。戸惑うことが多かったかも知れません。
ですが、ネパール語学習においては、この点での心配はいりません。
ネパール語の文は、基本的には、日本語と同じ語順で構成されています。
この点、ネパール語は日本人(日本語話者)にとって、とても馴染みやすい言語だと言えるでしょう。(「基本的に」と書きました。物事には多くの場合、例外があります。ネパール語の語順に関してもそうです。ですが、それは相当高いレベルまでネパール語学習が進んだ後のお話です。まずは基本をしっかり押さえましょう。)
例えば、「私は学生です」という文をネパール語に直すと、以下のようになります。(動詞の活用はまだ先の話ですので、ここでは語順だけにご注目ください。)
म विद्यार्थी हुँ।
日本語の対応する単語を当てるとこうなります。
म(私は)विद्यार्थी(学生) हुँ(です)।
日本語の順番のままですね。これは、修飾語が入っても基本は同じです。例えは、「私はネパール語を学ぶ学生です」と言いたい場合は、以下のように言えます。(やはり、ここでも語順だけに注目してくださいね。)
म(私は) नेपाली भाषा(ネパール語を) सिक्ने(学ぶ) विद्यार्थी(学生) हुँ(です)।
日本語の語順のままでいい、というのが伝わったでしょうか。馴染みのないことばかりのネパール語ですが、こんなちょっと一安心できる(いや、実はかなり大きな安心をもたらす?)要素もあるんですね。日本のネパール語学習者にとっては嬉しい限りです。
ネパール語の主語
次に、ネパール語の主語です。
まず、日本語で考えてみましょう。日本語では主語はどのような形で表されるでしょうか。もちろん、「私は」「僕が」「皆も」のような形ですね。ちょっと意識していただきたいのは、「は」「が」「も」といった助詞を伴っていることです。話し言葉ではこれらの助詞が省略されることもありますが、書き言葉、あるいは正確な文法では助詞がかかせませんね。逆に、この助詞の存在のおかげで、文のどの部分が主語なのかを見分けることが容易になります。
これに対して、ネパール語には主語に付属する助詞が存在しません。
先ほどの「म विद्यार्थी हुँ।」という文を例にして考えてみましょう。これは、
म(私は)विद्यार्थी(学生) हुँ(です)।
という意味でしたね。
ここで、日本語訳には「म」の訳として「私は」を当てましたが、実は「म」という単語は「私」を意味しているだけです。「は」に該当するものは存在ません。それで、文脈によっては同じ「म」を「私が」と訳すべき場面もあります。
例えば、直前の単語や文節を強調する「नै」という単語が「म」の後にきて「म नै」となれば、「私こそ」や、「私が(その)」という意味になります。また、「म」の後に「も」を意味する別の単語「पनि」(あるいは「नि」)が使われれば、「私も」という意味になりますね。
「म」=「私は」と覚えてしまうことがないようにしましょう。正しくは、「म」=「私」です。(英語の「I」と同じですね。)
「ले」は助詞だ、という誤解
ここで、ネパール語学習を始めたての方に多い誤解を一つ解いておきたいと思います。しかも、これは、日本語を母語とする私たちにとって、この誤解を早いうちに解いておかないと、間違った話し方が癖になってしまってなかなか直せなくなるやっかいな点でもあります。
その誤解が、こちら。
「『ले』をつけて『मैले』って言うと、『私は』になる。」
つまり、「ले」は「は」や「が」に該当する助詞である、という誤解です。この点を誤解したままにしてしまうと、次のような間違いを犯してしまいます。例文は、「私はカトマンズに行きました」と言いたいくて、間違えているものです。(※分が間違っているので日本語訳も正確ではありませんが、説明のために無理やりあてています。)
मैले(私は) काठमण्डू(カトマンズに) गएँ(行きました)।
思わず言っていませんか?正しくは、「ले」をつけずに「म काठमण्डू गएँ।」と言います。日本語話者にとっては「ले」がついた方がなんとなくしっくり来るので言いたくなっていますのですが、そこはぐっと我慢しましょう。
とはいえ、実際には主語に「ले」が付いている文もたくさんあり、むしろ「ले」を必ずつけなければいけない場面もあります。この「ले」の使い方について詳しくは後日解説しますが、今の段階では、ネパール語の主語に「は」「が」「も」といった助詞に該当する文字はない、ということをしっかり覚えておきましょう。ここを理解できているかどうかは、後のネパール語力の伸びにも影響してきます。
ネパール語の動詞(原形)
では、動詞の形を説明します。主語と動詞さえあれば、文が成立します。前回まで一生懸命覚えたデヴァナガリ文字が意味を持つようになる瞬間です。
ネパール語にも、動詞活用が存在します。自制によって活用するのはイメージしやすいと思いますが、日本語にも英語にもないのは、主語に応じた活用です。ネパール語では、主語に対応して動詞の形が6パターンに変化します1厳密には7パターンですが、1パターンは一部の旧王族のみが使用している活用形で、一般的ではなくなっていますので、ここでは6パターンとしています。。いきなりネパール語学習の壁が高くなった、と感じる方もおられるかも知れませんが、主語に応じて活用形が変わることには大きなメリットがあります。それは、動詞に注目すれば主語が特定できる、ということです。
ではまず、動詞の原形、辞書に載っている形を抑えましょう。これで、辞書を引けるようになりますね。
ネパール語動詞の原形は「~नु」
日本語の動詞(形容動詞)の辞書に載っている形は、すべて「ウ段」で終わっています。「学ぶ」「笑う」「食べる」「書く」などですね。いわば、これが日本語動詞の原形であると言えるかも知れません。「ぶ」「う」「る」「く」は互いに全く異なる音ですが、「ウ段」という共通点がありますね。
これに対し、ネパール語動詞の原形はもっと単純で覚えやすいです。すべて、「~नु」で終わっています。このことさえ知っていれば、ネパール語ビギナーの方でも、単語がずらりと並んでいる辞書を見ても動詞を簡単に見分けることができます。上に挙げた4単語を例にとってみると、それぞれに対応するネパール語動詞は以下のとおりです。
सिक्नु(学ぶ)
हाँस्नु(笑う) ※「स्न」は、母音のない子音字「स्」と「न」の結合したものです。
खानु(食べる)
लेख्नु(書く)
すべて、「नु」で終わっていますね。この形が元になって、各種の活用形ができるわけです。この点を意識しておくと、動詞の活用を覚えるのも少し楽になるはずです。
まとめ
それでは、このページのまとめです。
- ネパール語の語順は、ほぼ日本語と同じ
- ネパール語の主語に「は」、「が」、「も」はつかない
- 主語にくっつくことが多い「ले」も、「は」ではない
- ネパール語動詞の原形は必ず「नु」で終わっている
次回は、まず先に覚えたい動詞の活用形2パターンを解説したいと思います。お楽しみに!
ネパール語でお困りですか?
ネパール語翻訳なら、
同)アジア・パブリック・インフォメーション!
ネパール在住10年以上の実力者が上質な翻訳を提供します。
まずは、下のボタンから詳細をご確認ください。
下のボタンは、弊社運営の別サイト「https://news-of-asia.net/category/writen-in-nepali」を開きます。